ポスターやカタログをはじめWEB、SNSまで幅広い媒体でのクライアントワークを経験してきた弊社のアートディレクター 川口。女性をターゲットとしたクリエイティブを中心に制作している彼女の考えとともに、これまでに手がけたお仕事をご紹介します。
Q. アパレルやコスメ、雑貨など女性向けのブランドのお仕事に携わるようになったきっかけは?
あるアパレルブランドからいただいた、リーフレットデザインの依頼がきっかけです。
その時いただいたオーダーが、「女の子が“キュン”とするビジュアルにしてほしい」という内容でした。
直球でわかりやすいリクエストではあるのですが、「“キュン”をどう表現しよう」と少し戸惑いました。
Q. そんなストレートなオーダーにはどう応えたのですか?
ターゲットである20代の女の子にとっての“キュン”がどこにあるのかを理解するために、あらゆるブランドのビジュアルを見ました。
そのうえで、「旅」がコンセプトワードに入っていたので、ちょっと遊びを加えるイメージでビジュアルを作りました。
ところが、一発目に出したデザイン案は不採用。
自分の中で「かわいい」を消化しきれてなかったなと、今振り返って思います。
それからはとにかく提案の日々でした。
自分が考える“キュン”と、お客様が求める“キュン”、そして、ターゲットとなる女の子たちに届く“キュン”、その3つをすり合わせていくことの繰り返しでした。
そうして1年ほど試行錯誤して、お客様から「川口さん、すごく“キュン”とします!」というお電話をいただいたんです。
とても嬉しかったと同時に、もっと女性目線を極めないといけないなと思いました。当たり前ですが好みや趣味は人それぞれで異なります。それでも「ここだ!」というピンポイントのニーズをカタチにしていきたいなって。
Q. 女性向けのクライアントワークがメインになって、なにか気づきがありましたか?
女性と男性の刺さるポイントの傾向のようなものは見えたような気がします。
男性には、機能やメリットをわかりやすく表現したビジュアルが好まれて、女性には直感的に「こんな風になれるんだ!」と、理想像をイメージできるビジュアルが好まれる。
今ではそれが自分のビジュアルクリエイティブのひとつの指標のようになっています。
とあるマーケティングの本で読んだのですが、女性には「今の自分は本来の姿じゃない」という思考が根本にあるそうで、理想の自分を見せてあげると魅力を感じるようなんです。
この気づきを得てから、色々なお仕事で「理想像をイメージしてもらう」ことを意識するようになりました。
たとえば、スタイリストが選んだコーディネートをユーザーに届けるサービスのWEBページを制作するお仕事では、女性の変身願望を視覚化するビジュアルを作りました。
ページをスクロールしていくとシンプルな装いの女性が、カジュアル、キレイ目などテイストの異なるコーディネートに変身していく構成に。
「自分に合ったコーディネートが見つかる」というサービスのメリットを視覚的に表現しました。
また、某化粧品ブランドのビジュアルイメージは「身近なヒロイン」をキーワードにキービジュアルを提案しました。
1人の女性が色々なルックスの自分にメイクアップ。「憧れを抱いている身近な存在に、メイクの力で近づこう」というメッセージを込めました。
ターゲットとする女性になりきって、「なりたい自分」を考えに考え抜いて、ビジュアルに落とし込む…。妄想を繰り広げて、イメージがカタチになった時の達成感は大きいですね。
Q. 今後やりたいことや展望は?
言葉でなら比較的理解しやすいことでも、それをビジュアルで伝えるとなるとやっぱりすごく難しいです。
ですが、商品の本質的な魅力や手に入れた後の未来像など、言葉との相乗効果でよりメッセージを広げて伝える力がビジュアルにはあると思っています。
ありがたいことに、これまでたくさんのお仕事を任せていただきましたが、まだまだ女性という広いターゲットの一角にしか携わっていません。
「こんな女性には、こんなクリエイティブが刺さるんじゃないかな」と試行錯誤しながら、一つひとつクリエイティブで表現していきたいです。
すべての女性が、なりたい自分を見つけて、前向きになれたらいいですよね。
そんな見ていて明るい気持ちになれる、憧れに一歩近づけるようなビジュアルを作り続けていきたいです。
【そんな川口の“キュン”WORKS !】
■株式会社JINS rim of JINS リブランディング
JINSの新業態「rim of JINS」のブランドリニューアルに伴い、ブランドのコンセプトビジュアルや各種クリエティブのデザインを担当。
「クライアントの『ファッションとしてのアイウェアの価値を伝えたい』という想いに、アートディレクターとしてワンビジュアルでメッセージが伝わるように表現しました。」(川口)